日本の物流や経済の中核を担う商社業界は聞いたことがあっても具体的な仕事内容はわかりにくいですよね。今回は商社業界の仕事内容から年収、注意すべき点などを紹介していきます。
商社業界ではどんな仕事をするの?
商社業界にはそもそもどのような仕事があるのでしょうか。業務内容や必要なスキル、年収などを調べてみました。
商社業界には総合商社と専門商社の2つがある
商社業界と一口に言っても「総合商社」と「専門商社」の2種類があります。
総合商社では幅広い商品やサービスを取り扱っているのが特徴的で、国内で一般的に必要とされる物資や原材料を一括で輸入や輸送を行い、そこから業者や製造工場などに小分けして販売していきます。
一方、専門商社では、総合商社では扱わないような工業製品や材料を取り扱います。これらのいわゆる卸売り業を行っており、利益は販売手数料などから発生しています。
どちらもグローバル企業が多いのが特徴です。また、新規開拓営業やルート営業などを行う営業職・投資に関する計画を立てる他、経営方針立案などを行う事業企画・電話対応や書類整理などを行う貿易事務などの職種があります。
国内の様々な企業に物資を販売する大動脈のような業種
商社業界の仕事がなければ国内の物流や生産がスムーズに行えないと言われるほど、現代の日本では必要とされている仕事です。
物を扱う業界のほとんどに関わりがあり、大手企業とのコンタクトを多くとることもあります。担当する物品によっては世界を駆け回ることもあるため、自分が大きな仕事を任されている実感が湧きやすく、やりがいのある仕事と言えます。
商社で働くと幅広い仕事の裏側を学べる
商社業界で働いていると様々な仕事の裏側を見ることができます。
例えば工場であれば、表向きには製造していることしかわかりませんが、商社の仕事で関わると材料をどこで仕入れているのか、どのように品質管理しているのか、量や単価などの金額的な部分までが見えてきます。
こうした商社に勤めていなければわからないような仕事の関わり方ができます。
商社では投資や資産運用なども行なっている
商社は卸売の手数料だけでなく、投資や資産運用を行なって利益を上げています。
通常の銀行の行うような資産運用で利益を上げるほか、スポンサーや株主といった形で企業を支援し、配当などを受け取っています。
年収は600万円~1000万円ほどとかなり高めになっている
商社業界で働く方の年収は仕事内容や企業によりますが、600万円~1000万円ほどです。
国内の業種の中でもかなり上位の年収であることは間違いなく、大手商社であれば給与の安定感も抜群です。人気の転職先ですが、狙ってみる価値のある業種と言えそうです。
商社業界で働くにはどうすればいいの?
商社業界で働く方法を具体的に見てみましょう。
各仕事に共通する経験があれば有利ですが、語学力はほぼ必須と思ったほうがよいです。数字を扱う仕事なので、そうした仕事に慣れている点や自分の経験を活かしてアピールをすることが大切です。
海外とのやりとりも多いため、英語力が求められる
商社業界で働くと、海外の企業やメーカーとのコンタクトを取る機会が多くなります。
そうなるとどうしても語学力が必要になってきます。とりわけ最低でもビジネスで通用する英語力が求められ、読み書きできるだけでは通用しません。
応募資格に必須と書かれていることもあり、書いてなくても暗黙の了解で求められるスキルですので、自信のない方は英会話教室などで学ぶ姿勢があるとよいでしょう。
全くの未経験者では厳しいが、営業や事務職などの経験を活かすことも可能
商社業界への転職を目指す場合、実務経験も知識もない全くの未経験では厳しいです。
しかし、社会人経験を積んだ人であれば、何かしら自分の得意分野や経験した業界、業績などがあるはずです。特に業界を問わず営業や事務職などで電話応対やコミュニケーション能力を培った人はアピールポイントになります。
応募資格にある○○経験歓迎と記載されている部分はチェックしてみると、どんな人材を求めているかが見えてくるでしょう。
数字に強い人に向いている仕事
商社業界は数量や金額といった数字を扱うことが多い仕事ですので、こうした仕事に慣れている人に向いています。
具体的には銀行員やアナリストなどの勤務経験が生きてきます。また、在庫管理やバイヤーなどの商品の流通に携わった経験もプラスになりますので、自分のやってきた仕事にそうした経歴がないか確認し、積極的にアピールしましょう。
商社業界で働くために注意すべきこと
商社業界で働く前に覚えておいてもらいたい注意点3つを紹介します。
具体的には出張や残業が多く、プライベートの時間を確保し辛い、外国語への苦手意識があると続かないこと、やりがいの反面プレッシャーやストレスを感じてしまうこと、そして高学歴でないと採用されない事が多いことです。それぞれ紹介していきます。
出張や残業が多く、プライベートの時間を確保し辛い
商社業界は海外への視察や現地買い付けなどで、出張が多くなることも珍しくありません。
さらに海外企業との打ち合わせの場合は時差の関係で残業せざるを得ないこともあり、プライベートの時間はかなり取りにくくなります。
もちろんこうした激務であることを加味して年収が高めになっているのですが、休みを確保して自分のプライベートをしっかり守りたい人には向いていません。
外国語への苦手意識があると続かない
商社業界は海外とのやりとりが発生します。キャリアを積んだり技術力を高めたりといった努力だけではなく、外国語での対応力が身につかないと仕事を続けることが難しいです。
ビジネス会話が可能なレベルであったとしても、業務の中で専門用語などを覚えていかなければならず、業務以外に勉強すべきことがたくさんあります。
このような努力を積極的にできる人でないと、人事査定や評価が思ったように上がらずに、挫折してしまうかもしれません。
やりがいの反面プレッシャーやストレスを感じてしまう
商社業界はやりがいのある仕事だと紹介してきましたが、その分プレッシャーが大きな業界です。
扱う金額の大きさや取引先企業への影響を考えるとミスは許されず、周りからも厳しい目で見られます。そうしたストレスの多い環境で働き続けられるメンタルがないと、精神的に働けなくなってしまう可能性があります。
高学歴でないと採用されない事が多い
商社業界は老舗の企業が多いため、学歴や出身校を重視する風潮は残っているものの、学歴不問との記載があったり、今までの経歴や意気込み、適正を加味して判断されたりするケースも増えてきました。
とはいえ、書類審査の段階ではやはり学歴に注目しているようです。少なくとも大卒レベルでないと、面接に進むことは難しそうです。