電子機器やセンサー分野で大手の株式会社キーエンス(以下キーエンス)で働いてみたいと考える人も多いのではないでしょうか。
今回は、キーエンスで働くために必要なことや注意事項をまとめました。
キーエンスはどんな会社なの?
キーエンスは、本社を大阪市東淀川区に置く従業員数5,000人以上(グループ連結)を誇る電子機器やセンサー分野大手の国内企業です。事業内容や今後の展望、求人の募集傾向などを紹介していきます。
家電や機械製品を作るうえで欠かせない計器類を販売している
キーエンスの製品は家電や機械製品、自動車などを扱う企業にとって、なくてはならない存在ともいえます。販売している製品は、センサーやマイクロスコープ、モータ、計測機器類のほか、近年注目を集める3Dプリンタの販売も行なっています。
これらの製品は、機械へ搭載するほかに、製品化に向けた試験やプロトタイプの作製にかかせないもの。人間の目では見えないものを正確に測定するキーエンスのセンサーがなくては、信用できる商品開発はできないといっても良いでしょう。
海外展開も進み、企業としての安定感もある
キーエンスは国内30箇所以上の営業所に加え、2箇所の研究施設を構えていますが、海外にも44カ国、200拠点以上を展開しています。このため海外で働きたいと考える人も活躍できるボジションが用意されている点も魅力の一つ。
企業としては東京証券取引所で扱う全銘柄の内トップ30に入る時価総額とも言われており、国内企業のなかでも世界的なリーディングカンパニーという見方をされています。
営業利益率が非常に高いことから、すぐに倒産する心配の少ない安定感のある企業だといえます。
新卒採用やキャリア採用なども盛んで入社のチャンスは多い
キーエンスでは、新卒の就活シーズン以外でも盛んに採用活動を行なっているため、求人が多く見られます。
2017年11月現在、キーエンスの企業ホームページに掲載されているキャリア採用を見てみると、社内SEやハードウェア設計、デザイン関連、経理、マーケティングなどの募集があります。
営業職に関しては新卒採用のほか、時期によっては掲載されているので興味のある方は根気よく探していきましょう。
待遇はキャリア採用の場合はまちまちですが、新卒採用を見ると修士課程修了で22万5,000円、大学卒業で20万5,000円(2016年4月実績)と給与の金額は高くはありません。
しかし賞与は年4回予定されており、各種保険から退職金など社員の福利厚生も完備されていることを考えると、好待遇といえます。
実際、キーエンスの平均年収は1300万円以上と言われており、これは上場企業の中でもトップクラス。東洋経済社によると40歳年収上位30社(上場企業編)のトップになっています。口コミを見ると社員の評判も上々のようです。
キーエンスで働くために必要なこと
キーエンスは好待遇で安定した企業ですので、転職を目指す方も多いですが求められるスキルや心構えがあります。実際の経験や体験談を踏まえながら、どんな人材が求められているのかご紹介します。
技術職では、電気関連知識はもちろんのこと現場の設計者としての知識も必要
キーエンスで技術職として働くには、基本的な電気や機械に関する知識だけでは、内定を獲得することは難しいでしょう。キーエンスの製品は、計測する物があるからこそ利用されるのです。
そのため、センサーやモータなどを設計する際には、どんなものに取り付けてどのように動かして計測を行なうのか、すなわち現場での使われ方を知っていないと顧客のニーズに応える物が作れず、売れません。
キーエンスの製品を実際に使っている現場の声として多く聞かれるのは「どんな大きさや用途にも使えるような製品が揃っていて使いやすい」という声です。こうしたユーザー目線に立った設計ができる人材が求められているといえます。
営業職は知識とプロモーション能力が必要
営業職として自社の製品を知っておくことは当然必要ですが、それに加えて売り込むプロモーション能力も大切です。センサーやモータといった製品はキーエンス以外にもオムロンなど大手メーカーの競合他社が存在します。
機械設計の現場では日々製品の比較がされており、使いやすさや性能、価格面などを厳しく見られるのです。そんな中でキーエンスの製品を選んでもらうには、ライバル企業に比べてどこが優れているか、利用価値があるかを顧客に伝える必要があります。
そのため、他社の製品もチェックし、自社製品とどこが違うのか、納品実績などをアピールできるように準備することも必要になってくるでしょう。
キーエンスはスピードが違う
キーエンスの特徴を関係企業に聞くと「とにかくスピードが速い」ことがよく挙げられます。これは納品スピードや製品の開発速度などを指しており、顧客が欲しいものをすぐに手配していることが理由だと考えられます。
通常、センサーや計器類の発注をすると、早くても2〜3日ほど納品に時間がかかりますが、キーエンスの場合は、朝連絡をして夕方には直接担当の営業が届けてくれることも。
製品の開発現場は1日の納品遅れが後のスケジュールのずれ込みにつながり、最悪の場合、公表していた発売日に間に合わないということもあり得ます。
ですから、キーエンスのスピード感のある仕事に助けられている企業は多いはず。技術力だけでなく、こうした心遣いができるところが高く評価され、満足度や信頼度にも繋がっているということなのでしょう。
キーエンスへの転職を目指す際のアピールポイントや注意点
キーエンスに転職を目指すには必要な知識とともに残業の多さも注意しておいた方が良いでしょう。ここではどんな知識がアピールに役立つか、注意点などを紹介します。
異業種からキーエンスの技術職への転職は厳しく、残業も多い
キーエンスの機械系技術職では前述のように機械、電気分野に関する知識以外に設計現場目線での対応が必要になるため、まったく知識のない異業種からの転職は難しいでしょう。
キーエンスへの転職を希望するのは同業他社や同じ業界で働いていた人が多く、そうした中で未経験で戦うには非常に厳しいといえます。未経験でも可能なポジションでのポテンシャル採用もないわけではありませんが、数が少ないため狙い目とはいえません。
また、実際に勤務した人の声としては「残業の多さ」も目立ちます。原因はさまざまですが、その一つに顧客に求められる短納期に合わせるために残業で対応していることが挙げられます。
営業時間外でも顧客に商品を届けて欲しいと頼まれれば無視できないことや、他社製品より早く顧客に合った新商品を出すための開発も日夜進めています。
こうした仕事に対応するために、月の残業時間が40時間以上になるともいわれています。
経験者は自分に今あるものとない知識をしっかりと把握してアピールすると好印象
キーエンスでは多くの知識や能力が求められますが、そのすべてを最初から持っている必要はありません。今の自分がどれだけの知識を持っていて、どんな経験をしてきたかを認識しておけば、逆に何が足りないかもわかります。
足りない部分が分かっていないと成長できません。それに、足りない部分が分かっているからこそ、入社してからどういった努力や工夫でクリアしていきたいかを具体的に説明できます。
自分をよく理解して自己アピールができると、企業側も優秀な人材であると評価してくれるでしょう。
まとめ
キーエンスに転職するには専門分野における知識と、製品を実際に使う現場の知識両方が必要になります。特に中途採用で武器になるのは「現場の知識」です。
これは学校や机上で学ぶことはできず、実際に仕事をする中で、どのようにキーエンスを選び、組み込み、使っていくかを知っていれば技術職や営業職、管理職でも役立つことは間違いありません。
もしこうした経験がなかった場合は、キーエンスで仕事していく上で学ぶことが可能なので、勉強していきたいという姿勢をアピールすると良いでしょう。
自分で経歴の整理や自己分析が難しいと感じる時には転職エージェントの利用も検討してください。転職エージェントは、あらゆる求人情報を扱っていますし、会社情報や労働環境、採用情報など様々な情報が得られます。
また、採用面接対策や履歴書・職務経歴書などのアドバイスを行い、あなたの転職をサポートします。男性・女性に関係なく有益な転職活動ができるでしょう。
キーエンスのような好待遇+安定感抜群の企業で働くにはQ&A
キーエンスの面接対策はどんな準備が必要ですか?
キーエンスへの転職は、未経験だと特に難易度が高くなりますから、面接対策をしっかり行う必要があります。ただし、しっかり・・・といっても、転職のノウハウ本にあるようなテンプレのような回答は参考程度にしておきましょう。
それよりも、企業研究をしっかり行い、キーエンスがどんな人材を求めていて、どこに向かって進もうとしているのか、そしてそれらを踏まえて自分は何ができるのかを明確に答えられるように面接対策をしていく必要があります。
筆記試験は?
キーエンスの筆記試験は、SPIで行われます。合格ラインは公開されてはいないものの、そこまで厳しくはないと言われています。とはいえ、選考時の参考にはされますので、基本的な筆記試験対策はしっかり行いましょう。
志望動機は?
キーエンスの面接は、志望動機が聞かれることはないようです。なかなか難しいことですが、重要なのは自然体で飾ることなく面接に挑むこと。自分という人間を全面に出す勇気と、働くことに対する自分なりの考えをまとめておく必要があります。
最終面接までの道のりは?
キーエンスでは筆記試験があり最終面接を合わせると合計3回の面接があります。面接の方法は職種によって違います。
学歴は選考に影響する?
キーエンスは選考にあたって学歴を判断基準にはしない会社として有名です。採用情報の応募条件にも学歴面については特に記載がありません。実力と経験、そして英語力を重視する企業です。
キーエンスのエンジニア職はどういった業務内容ですか?
キーエンスのエンジニア職は「商品開発」、「コンサルティングエンジニア」、そして「生産技術」の3タイプに分けられています。
商品開発は付加価値の高い商品を設計・製造を行い、コンサルティングエンジニアは営業力だけではなく技術も備わった人材を配置、生産技術においては商品を滞りなく世の中に送り出すための仕組み作りが主な業務内容になります。
キーエンスへの転職難易度は高いですか?
キーエンスの平均年収は、何と2000万円超え。ボーナスが4回もあって合計で1000万円ももらえるというものすごい待遇です。
この年収ですとやはり倍率は高くなりますし、平均勤続年数も12年ほどと働きやすい環境であることも伺えますから、転職難易度は高いと考えてください。
キーエンスの口コミはどんなものがありますか?
キーエンスに就職・転職した人の口コミには、このようなものがあります。
・労働環境は働きやすいとはいえない
・仕事は大変だが、年収がとても高い
・勤務時間が長すぎる人は厳しい指導が入る
・頑張れば認めてもらえる会社 など
悪い評判もある?
キーエンスの悪い評判として挙げるとしたら「福利厚生はいまいち」「休暇取得に気を使う」「年功序列の環境に納得いかない」といったもの。とはいえ、給与面が飛び抜けて良いので大きな不満には繋がらないようです。
キーエンスは女性が働きやすい環境ですか?
キーエンスでは、時短勤務・育休・産休といった女性が家庭と仕事を両立するための取り組みを行っています。ただし、激務な労働環境であるために、結婚や子育てといった変化には対応できないという声も。女性でキーエンスへの転職を考える方は、5年後、10年後のビジョンを具体的に考えてみることをおすすめします。
「キーエンスは30代で家が建ち、40代で墓が建つ」とはどういうことですか?
キーエンスは30代で家が建ち、40代で墓が建つという噂があります。これは年収が高いため30代には家を建てられて、激務ゆえに40代には倒れてしまうという意味です。
ただ、実際は21時半以降の残業は厳禁、仕事を自宅に持ち帰るのも禁止、休日は土日祝日は休み(職種によっては違うようです)で、ゴールデンウィークやお盆、年末年始は7~9日程度の休暇は取れるようです。
ですが、仕事は妥協が許されず、給与に見合った働きを求められるため、労働中の時間は密度が濃いです。ストレスとの付き合い方が鍵となる職場だといえます。