顧客先で勤務することの多いカスタマーエンジニアはどんな仕事なのでしょうか。今回はカスタマーエンジニアになる方法から必要な資格、注意すべき点などを紹介していきます。
カスタマーエンジニアとはどんな仕事?
カスタマーエンジニアとはそもそもどのような仕事なのでしょうか。仕事内容やどんな分野で実際に活躍できるかを調べてみました。
顧客やユーザーの元で設備やサーバーの設置を行なう仕事
カスタマーエンジニアはフィールドエンジニアとも呼ばれ、顧客やユーザー先で常駐することの多い仕事です。
常駐先では自社の提供するネットワークサービスやサーバーの設置からメンテナンスを行ないます。プリンターやATM、OA機器、コピー機などの導入時、故障や修理への対応、需要に応じて専門家としてクライアントに提案するなど、幅広い仕事になります。
求人によってはフィールドエンジニアとも呼ばれることもあります。
サーバーエンジニアやインフラエンジニアとの違い
カスタマーエンジニアはサーバーエンジニアやインフラエンジニアと、どちらも専門性が高く、よく似た仕事です。
ですが、作業場所や工程が異なります。サーバーエンジニアやインフラエンジニアは一から構築を行なう仕事で、システムを完成させることが主な役割です。
それに対してカスタマーエンジニアは完成したシステムや製品を顧客の要望に応じてカスタマイズし、設置やメンテナンスを行ないます。
つまりカスタマーエンジニアは完成品を使って作業を行なうため、サーバーエンジニアやインフラエンジニアとは違った難しさのある業務内容です。
当然そのシステムを作った担当者とのコミュニケーションも必要で、設置先の顧客との関係も良好に保たなければならないことから、他のエンジニアよりもコミュニケーション能力の高さが求められます
年収は500万円ほどで、比較的安定している職業
カスタマーエンジニアの年収は500万円ほどとそこまで高くはありませんが、安定していると言われています。
その理由はシステムを導入している企業がある限り、カスタマーエンジニアの仕事が発生するからです。1つの会社だけにとどまらず、掛け持ちして2社3社と担当するようになれば、仕事が切れるようなことはないでしょう。
カスタマーエンジニアになるにはどうすればいいの?
具体的にカスタマーエンジニアになるための方法を考えてみましょう。専門学校に通うという方法もありますが、基本的にエンジニアとしての経験がないと難しいのが現状。ただ、営業経験があれば採用される可能性もあります。詳しく解説していきます。
エンジニアとしての経験がないと客先での仕事は難しい
カスタマーエンジニアとして働くにはエンジニアの経験者でないと、顧客先での仕事は任されません。ある程度サーバーエンジニアやインフラエンジニア、アプリケーションエンジニアなどの言語を利用したプログラミングができる人材が求められています。
未経験でもWeb系の企業で営業経験があれば採用の可能性はある
エンジニアとしての経験がなくても、例外としてWeb系の企業で営業をしていた経験があれば転職できるかもしれません。
営業経験があることでコミュニケーション能力は備わっていると認識され、Web業界について専門知識があれば、エンジニアとしての吸収も早いでしょう。
担当が決まったとしても、最初から難易度の高い現場になることは少なく、先輩や上司の指導を受けながら、徐々に技術を学ぶような研修制度が備わっている企業もあります。
経験の有無に問わず資格はあったほうがよい
カスタマーエンジニアは顧客の信頼あっての仕事なので、資格があるとより信頼を得ることができます。どのような資格があるかは次の項目で紹介してきますが、作業内容によっては必須の資格もあるため、入社前に下調べを行なっておきましょう。
カスタマーエンジニアに必要なスキルや資格は?
カスタマーエンジニアに必要な資格を紹介します。顧客の信頼感を得るためには知名度の高い資格がよいので、そうした点を考慮してピックアップしてみました。
基本情報技術者試験や応用情報技術者試験
基本情報技術者試験や応用情報技術者試験はITエンジニア向けの試験で、知名度が高いのが特徴です。
基本情報技術者試験は、IT業界全般の知識やスキルのアピールになります。応用情報技術者試験については、技術や管理、営業などの知識と応用力のアピールになります。
ただし、どちらも国家資格であるため合格率は低め。かなりの勉強や対策が必要ですが、これらの資格を持っておくとカスタマーエンジニア以外のエンジニア職への転職にも有利になるのでおすすめです。
Oracle Master
Oracle Masterはサーバーエンジニアやインフラエンジニアに人気の資格ですが、カスタマーエンジニアでも持っておくとよいでしょう。有名な日本オラクル社の名前の付いた資格なので、顧客への印象も良くなります。
出題内容は、データベース管理から運用、アプリケーション開発まで幅広い知識が範囲となっているため、カスタマーエンジニアが習得すべき知識の範疇は超えていますが、こちらも他のエンジニア職への転職で有利になります。
階級は「Silver」「Gold」「Platinum」の3段階が設定されています。
電気設備の点検を行なう場合は「電気工事士」などの資格が必須
サーバーや通信設備を設置する際に電気系統の配線や保守を行なう必要がある場合には「電気工事士」や「認定電気工事従事者」といった資格が法的に必要とされています。
転職する段階では必須とされていないことが多いようですが、仕事をしながら習得しておくと仕事の幅が広がります。
カスタマーエンジニアなるために注意すべきこと
カスタマーエンジニアになるために覚えておいてもらいたい注意点3つを紹介します。
具体的には問題が発生すると帰れないこと、顧客要望でどんどん仕事が増えること、常に新しい技術や設備が登場するため、勉強が必要なことです。それぞれ紹介していきます。
問題が発生すると帰れないことも
カスタマーエンジニアは顧客先のトラブル対応で残業時間が多くなりがちです。コンピュータがトラブルから復旧できないと顧客の仕事に支障をきたし、信頼を失ってしまいます。
こうしたことから、トラブルの解決まで夜通し作業を強いられているカスタマーエンジニアも少なくありません。
顧客要望でどんどん仕事が増える
顧客先に常駐していると、自分の仕事ではない業務を押し付けられることも珍しくありません。顧客としては「そこにいるのだから手伝ってくれてもいいだろう」という軽い気持ちで業務を頼んできますが、自分の仕事が手一杯でも断りにくいですよね。
そうした結果、あれもこれも自分の仕事にされてしまい、業務が増え続けるケースもあるようです。
常に新しい技術や設備が登場するため、勉強が必要
カスタマーエンジニアが扱う機械製品は常に最新の技術が使われており、作業の度に慎重な確認や技術に対する知識や装置の操作方法の習得が必要になります。
ベースは同じでも顧客によってカスタマイズされているケースや、時期によって微妙に機能や仕様が異なることは日常茶飯事。「前と同じでいいか」という気持ちで作業をすることは許されず、最新の技術を勉強する姿勢が求められます。
まとめ
カスタマーエンジニアは年収500万円ほどの安定している職業ですが、顧客とのトラブルや残業時間の多さなど懸念事項は少なくありません。
しかし、カスタマーエンジニアを足がかりにインフラエンジニアのような高い年収の仕事に就ける可能性もあるため、未経験からエンジニアを目指す人にはおすすめかもしれません。