人工知能システム(AI)は、いまやビジネスを行う上で欠かせない存在です。世界で注目される中、同時にAIエンジニア目指す人も増えています。
AIエンジニアはどんな仕事なのでしょうか。今回はAIエンジニアになる方法から必要な資格、注意すべき点などを紹介していきます。
- AIエンジニアとはどんな仕事?
- AIエンジニアになるにはどうすればいいの?
- AIエンジニアに必要なスキルや資格は?
- AIエンジニアなるために注意すべきこと
- まとめ
- AIエンジニアになりたい人向けQ&A
AIエンジニアとはどんな仕事?
AIエンジニアとはそもそもどのような仕事なのでしょうか。仕事内容やどんなサービスで活躍できるかを調べてみました。
様々な業界から注目を集める人工知能の運用や活用を行なうエンジニア
AIエンジニアはその名の通り、最先端技術である人工知能に関わる仕事を行なうエンジニアです。
ロボットやスマートフォン、スマートスピーカーといった人工知能を使った機械や製品が最近では注目を集めていますが、ハード面だけでなくソフトウェアの部分でも大きく進歩してきています。
どれだけハードが優秀でも人工知能が機能していなければ使い物になりません。そういった意味ではAI業界の中でもAIエンジニアは中心的な存在とも言えます。
AIエンジニアの仕事は企業によって2つに分けられる
AIエンジニアはプログラマー分野と分析を行なうアナリスト領域の2つがあります。
まだ登場したばかりの職業なので、細かな棲み分けがされていないため、2つの仕事が混在している状況です。プログラマーは人工知能の実装や修正に関わる、直接的なプログラミングを行ないます。
アナリストの仕事は、人工知能が学んだことや内部で構築したデータ解析を行い、修正点や改善点を洗い出す作業を行ないます。
小規模な開発プロジェクトであればこれらを兼任することもありますが、通常はプログラマーとアナリストが別々に作業し、双方が協力して人工知能のブラッシュアップを行なっていきます。
プログラマーとアナリストと異なるスキルが必要
AIエンジニアは上記で紹介したようにプログラマーとアナリストの2種類が存在するため、それぞれで勉強すべき基礎知識や必須スキルが変わってきます。プログラマーは使用する言語が複数あり、代表的なもので言えばJAVAやPythonなどがあります。
企業の募集内容と自分の扱える言語スキルを見比べて、応募先を決めましょう。アナリストは数学的な解析法や論理的志向といった、考え方という部分が重要なため具体的なスキルの指定はできません。
しかし、人工知能の分野でなくても、統計解析、ビッグデータを扱った経験があれば活躍の場があります。
年収は500万円以上!1,000万円も目指せる仕事
AIエンジニアは今後の発展も見込まれる職業であるため、ベースとなる年収の上昇も大いに期待できます。現在では500万円~700万円ほどの平均年収と言われていますが、関わるプロジェクトは成果によっては1,000万円以上の年収を得ることも可能です。
AIエンジニアになるにはどうすればいいの?
AIエンジニアになるための方法を3つ紹介していきます。AIエンジニアはまだ経験者自体が少ないため、一定のエンジニアやアナリストとしての経験があれば、未経験でも応募できる求人が多くあります。どんな人にチャンスがあるのか紹介しましょう。
アプリケーションやスマートフォンエンジニアはスキルを生かせる
AIエンジニアとしてやりたいことがプログラミング重視であれば、アプリケーション開発の経験を生かして転職することもできます。
経験言語の適性もある程度ありますが、Pythonなどの言語に関してはプログラミング経験があれば、スムーズに使いこなせるようになることが多いため問題ないです。
プログラマーとしての経験と実績があれば、AIエンジニアになれる可能性が高いと言えるでしょう。
エンジニア職以外でもデータアナリストや数学的分野に長けている人は挑戦可能
AIエンジニアのアナリスト領域で仕事をしたいと考えている人は、業界に関わらずアナリスト経験があれば転職可能です。
アナリストに必要なことは知識と経験、そして基礎的な考え方なので、業界が違っても応用することができます。人工知能に関する興味や好奇心があることを積極的にアピールしましょう。
未開拓の領域なので未経験にもチャンス
AIエンジニアになるために必要なスキルをいくつか紹介しましたが、未開拓の分野であるため、AIプログラミングスキルや技術力、実務経験がほとんどなくても、意欲だけで転職できる可能性があります。
というのも、AIエンジニアの具体的な仕事がしっかりと定まっていないこと、そして、どんな経験や考え方が生かせるか未知数なことが相まって、必須スキルや業務経験は特に決まっていないのです。
とにかく学びたい、興味がある、という前向きな姿勢があれば転職の道は開けてくるでしょう。
AIエンジニアに必要なスキルや資格は?
AIエンジニアに必要な資格3つを紹介します。新しく設立された資格が多く、今後も専門性の高い資格が登場すると思われますが、現在あるものから紹介していきます。
Python 3 エンジニア認定データ分析試験
Python 3 エンジニア認定データ分析試験はその名の通りPythonを使ってデータ分析を行なうための基礎的な方法を問われる試験です。紹介してきた通りAIエンジニアが使う言語として主流になってきているPythonをどれだけ扱えるかをアピールするための資格となっています。
日本ディープラーニング協会の検定(G、E検定)
日本ディープラーニング協会が行なう検定にはG検定とE検定の2種があります。
AIを扱うにあたって必要となるディープラーニング(深層学習)の知識を問われるもので、G検定ではジェネラリスト(事業活用する人材)、E検定ではエンジニア(実作業を行なう人材)を対象に行なっています。
IPAが設立した基本情報技術者試験や応用情報技術者試験
基本情報技術者試験や応用情報技術者試験はAIエンジニアではなくITエンジニア向けの試験ですが知名度もあり、共通する部分も多いため転職の際に有利になることは間違いありありません。
どちらも国家資格であるため、ITエンジニアやAIエンジニアだけでなく、その他のエンジニアとして転職したいと考えたときにもアピールポイントになるでしょう。
AIエンジニアなるために注意すべきこと
AIエンジニアになるために覚えておいてもらいたい注意点3つを紹介します。
具体的には会社によって仕事内容が異なるため、転職対策が難しいこと、若い年齢の採用が多いため、40代以降で転職するにはスキルが必要なこと、安定している職業とは言えないことです。それぞれ紹介していきます。
企業によって仕事内容が異なるため、転職対策が難しい
AIエンジニアの業務は職種や企業によって大きく異なり、詳しく調べてみないとどんな人材を求めているのかわかりにくいことも。
紹介してきたように、AIエンジニアの仕事自体が1つではないため、募集要項を見ただけでは転職対策が難しいです。不明な点は事前に問い合わせるか転職エージェントに相談してみましょう。
難易度は高い?
AIエンジニアになるには、相当のスキルが必要になりますし、上にあるように転職対策ができないという点も難易度の高さに繋がっています。ですが、AIの技術をある程度身に付けることができれば、マネジメント職に就ける可能性は高くなるでしょう。
若い年齢の採用が多いため、40代以降で転職するにはスキルが必要
AIエンジニアの仕事は成長が著しい分野であるため、知識の吸収が早い若い年代のほうが圧倒的に有利です。
30代前半までであれば未経験でも意欲や業界経験だけで転職できる可能性がありますが、40代以降になると、社会人経験が豊富であっても即戦力として使えるプログラマーやアナリストとして秀でたスキルが無いと難しいでしょう
まだまだ安定している職業とは言えない
AIエンジニアはベンチャー企業などでも活発に求人のある職業ですが、最悪の場合企業の倒産というリスクもあります。
大手企業であっても「とりあえず手を出してみたもののうまくいかなかった」という理由でプロジェクトが頓挫してしまい、働くことができなくなる可能性も。
様々な企業で研究が進められている分野ですのでライバル企業も多く、勝ち組になれるかどうかはわかりません。
まとめ
AIエンジニアは人工知能の活用とともに注目されている人気の職業です。IT業界で活躍したいなら転職サイトや転職エージェントを利用することになると思います。
職場環境や給料、研修の有無など、企業には直接聞きにくいことも積極的に質問してみてください。
AIエンジニアになりたい人向けQ&A
キャリアパス作成のポイントは何ですか?
キャリアパスの作成方法は3つのポイントがあります。
ポイント①は「ゴールを設定すること」。AIエンジニアとしてどう働きたいかを出来る限り言語化してみてください。
そしてポイント②は「どんなことに対してやりがいを感じるか」。これは一般論ではなく、あくまであなたにとってのやりがいです。
最後のポイント③は「自分という人材はどう評価されているのか」。今持っている経験やスキルがAIエンジニアになるためにどう繋がっているか把握しておいてください。
キャリアパスを設計することで、今の自分に必要なことや達成するためのステップが見えてくると思います。
AIエンジニアの人手不足問題に、国はどう対応していますか?
AIエンジニアは人手不足であることが深刻な問題となっています。現在日本では、世界で見ると対応が遅れているものの、人材育成のために様々な取り組みを行うとしています。
・小学生からプログラミング的思考を育む
・大学入試で情報の試験を必須化する
・大学の一般教養でコンピュータサイエンスを必須化する など
AIエンジニアになるには学歴が重視されますか?
AIエンジニアは深刻な人手不足に悩まされているとお話しましたが、それもあって優秀な人材だと判断されれば学歴はさほど障害とはならないでしょう。ただし、学歴が全く関係ないということではなく、高学歴であれば就職・転職に有利になる可能性は十分にあります。
AIエンジニアは激務ですか?
AIエンジニアは人手不足の影響もあり、プロジェクトによっては年収1000万円を超えることも可能だとお話しました。業務内容については、今のところ激務になる可能性は高いです。社員の勤務をしっかり管理する企業であれば、基本9~18時、週休2日制の所もあるようですが、激務度については勤め先に大きく左右されます。特にIT業界は残業が多いことで有名ですから、一応覚悟はしておいたほうがよさそうです。
平均残業時間はどれくらい?
AIエンジニアの平均残業時間は、企業の求人情報を見る限り20時間ほどでした。ただ、多くのエンジニアは激務で長時間労働です。残業時間をはじめとする労働環境については、企業研究をしっかり行う必要があります。
AIエンジニアには独学でもなれますか?
AIエンジニアを独学で・・・となれば、たとえば次のような知識が必要になります。
機会学習の基礎/プログラミング/数学(微分積分学・確率論など)/SQL/クラウド など
未経験でもエンジニアの経験があれば、AIエンジニアへの道は開けます。ですが、全く知識がない中で独学というのは、大変ですし時間もかかってしまいます。
完全に独学でAIエンジニアの基礎知識を習得するよりも、オンラインスクールをおすすめします。
オンラインスクールのおすすめは?
AIエンジニアの基礎知識が学べるオンラインスクールはいくつもあります。メリットとしては、やはり自宅で学習できること、そしてチャットやメールなどを通して質問もできます。
オンラインスクールで人気なのは、「テックキャンプ」です。教材や指導が分かりやすいと評判ですし、初心者に向けたコースもありますので、自分に合ったところからスタートできます。AI入門というコースもありますので、一度オンライン説明会に参加してみることをおすすめします。
専門学校に通ったほうがいい?
AIエンジニアになるための勉強は簡単ではありません。独学やオンラインスクールでも続けていくのは大変という方、時間的・経済的にゆとりのある方は専門学校も検討してみてください。
AIエンジニアのスキルを身に付けられる専門学校は全国的に増えてきていますが、どこでもいいというわけではなく、次の4つは最低限チェックしてください。
・講師陣の経歴
・Pythonのスキルがしっかり学べる
・資格取得できる
・就職実績が豊富
AIエンジニアは在宅で働くことも可能ですか?
在宅勤務OKでAIエンジニアのお仕事を探してみると、あるにはあるのですが、在宅だとしっかり稼ぐことは難しい印象です。
在宅ワーカーへ向けた案件というのは、難易度が低いアプリ開発などが主となりますし、継続的にお仕事があるということではないので、収入は不安定になるでしょう。本業ではなく、副業としてなら在宅で働くのもありです。
AIエンジニアとして副業するなら、クラウドワークスなどのサイトをチェックしてみてください。
リモートワークと在宅ワークの違いは?
リモートワークは主にIT・WEB業界で導入されている制度で、オフィス以外、たとえばカフェや自宅で働くことです。企業から正規の社員として雇用されて、働くことになります。
対して在宅ワークの定義は曖昧な部分もありますが、今のところフリーランス(個人事業主)として仕事を引き受ける働き方として使われることが多いです。
AIエンジニアと機械学習エンジニア、データサイエンティストの違いは何ですか?
AIエンジニア:人工知能に関わる業務を行うエンジニア
機械学習エンジニア:AI開発を専門とするエンジニア
データサイエンティスト:ビッグデータの活用・分析が主な業務
AIエンジニア=機械学習エンジニアと認識している人もいますが、AIエンジニアはもっと広い範囲を指しており、機械学習エンジニアがAIの中のひとつといえます。
データサイエンティストとAIエンジニアの違いは、データサイエンティストはデータ分析を主な業務としているという点です。データサイエンティストはビッグデータを扱うためITスキルや統計解析スキルが必要になります。
AIエンジニアに将来性はありますか?
今はAIエンジニアが不足している時代ですから、需要は高いですし、AIエンジニアを積極的に育てようとする企業は今後増えていくでしょう。また、国を挙げてAIエンジニアを育成していこうという流れもありますから、将来性はあります。
10年後は、AIエンジニアが活躍できる場が今よりもっと増えていることが予想されます。
AIエンジニアは楽しい仕事?やりがいは?
AIエンジニアとしての仕事は、楽しい部分・やりがいのある部分といえば、こんなものがあると思います。
・給与水準が高い
・未開拓の分野なので様々な可能性がある
・多くの企業がAIエンジニアのスキルを求めている
人口知能の進化で、プログラマーは不要になるって本当ですか?
今後数十年の間に、人口知能の進化で仕事がどんどん自動化され、いずれ不要となる職業がたくさん出てくると予想されています。オックスフォード大学の論文によると、いずれ消えてしまう職業として、銀行の融資担当や動物のブリーダー、ネイリストなどが挙げられています。
その中で、プログラマーも人口知能の進化によって、不要になる分野が出てくるといわれています。プログラマーの分野は幅広いですから、人の手でないとできない仕事も多くありますが、単純なものであれば現時点で自動化は可能です。