雑誌や本の販売に関わることができる人気の出版業界。今回は出版業界の仕事内容から必要なスキル、注意すべき点などを紹介していきます。
出版業界とはどんな仕事?
出版業界にはそもそもどのような仕事があるのでしょうか。仕事内容やどんな分野の経験が生かせるかを調べてみました。
本に掲載する文章や画像の編集
出版業界でよく見受けられる仕事は掲載に使用する原稿や画像の編集作業です。印刷物は読者にとっての読みやすさが命とも言えるため、特に力を入れて行なわれている仕事と言えます。
文章の配置や画像の大きさ、余白の取り方といったことは長年経験してきたセンスも必要とされる高度な作業。働き始めは言われるがままの仕事が多くなりがちですが、慣れてくると実際の編集会議などに参加し、紙面を作り上げる仕事に関われるようになります。
編集者は、書籍や雑誌の企画から編集まで携わることができますから、苦労も多い分、やりがいのある仕事です。特に企画力を磨いていくと、仕事がより面白くなっていくでしょう。
印刷の手配や流通手段の確保
出版業界は物を売る仕事ですので、印刷業者の手配や流通手段の確保といった裏方の仕事もあります。
印刷業者の手配もただ頼めばいいというものではなく、紙質や印刷する内容、量といった内容に応じて適切な業者に依頼しなければなりません。納品管理や検品も行なわなければならず、仕事はかなり多いです
自社で出版した雑誌などの営業や広告作成
出版した本は営業やPR活動をしなければ売れないため、こうした仕事をする部署もあります。具体的には書店においてもらう際に、特集コーナーの依頼や目立つ場所での販売をしてもらえないかといったお願いを営業サイドからしていきます。
本の広告をよく目にするのは電車の中吊りではないでしょうか。特にビジネスや自己啓発関係の広告はこうした場所に多いですよね。
このようにターゲットを考えながら、どこにどんな広告を出すかといった戦略も広告担当する事業部で考えています。
ネット社会になり売上の減少はあるものの、実際に残る物を作るやりがいのある仕事
出版業界は近年のネット社会の煽りを受けて、小説・コミックといったジャンルにかかわらず、売上が減少傾向にある時代。
雑誌を読む人も本屋で買うよりもスマートフォンやタブレットで購入してすぐに読める電子書籍を愛用する人も増えており、実際に印刷されたものを手にする人は少なくなっています。
しかし、中には本を直接手にとって読書をするのが好きな人もいますし、本を集めることが好きな層は存在しています。また、仕事のやりがいという面では、自分の関わったプロジェクトが製本されて現物になることで達成感が大きくなっています。
年収は400万円以上で、大手出版社や専門書を手がける企業ではさらに高い
出版業界の平均年収は400万円以上とそれなりに高く、企業によっては600万円以上であることも多いようです。
大手出版社では書籍の売上が減少していても、他の事業で業績が伸びていることもあり、高い水準を維持しているようです。
専門書を手がける企業の年収が高い理由としては、1冊辺りの単価が高いことと専門家やその業界を学ぶ学生にとっては必須になるのが強み。安定した売上に繋がっています。
出版業界で働くにはどうすればいいの?
出版業界で働く方法を3つ紹介していきます。出版業界様々な仕事があるので、未経験から働けるものや経験を生かしてステップアップできる職種まで幅広いです。
未経験者はアルバイトで補助的な業務を行なう
出版業界に未経験で転職を考える場合、まずはアルバイトやパートのような形で働き始めることになる場合が多いです。
仕事の内容は入力補助や雑用が多く、仕事をしながら出版業界に慣れ、キャリアを積みながらどんな仕事に適正があるかを見定めていきます。大学在学中に就職活動を経て働く場合も同様に、学生時代から経験を積んでおいたほうがよいでしょう。
企業によっては選考の一部で体験入社を行なうこともあるので、不安な方はまずはそうした経験をして、続けられるかを考えてみてもよいでしょう。
出版に直接関係がなくても一部の業種の経験はアピールポイントになる
他の業種で物品管理や物流、広告、営業といった分野で活躍してきた人は、そうした経験を生かして転職できる可能性があります。
出版業界というと文章を書くことに関わった経験や高い文章力を持っていないと採用されないイメージがあります。ですが、実際は文章を書く能力に自信がなくても、裏方スタッフとしての仕事もあります。
数が多いわけではありませんが、探してみる価値はあるでしょう。
イラストレーターやフォトショップなどの画像編集ができると重宝される
書籍の編集はパソコンで行なうため、イラストレーターやフォトショップで画像編集ができると即戦力として活躍できます。
簡単な画像補正や加工から、紙面に合わせた配置、イラスト制作、おしゃれに見える工夫ができるなど、個人のスキルには幅があるかと思いますが、実務経験や専門学校で勉強したことがあれば、応募書類や面接でアピールポイントになるでしょう。
出版業界で働くために注意すべきこと
出版業界で働くために覚えておいてもらいたい注意点4つを紹介します。
具体的には事業拡大が難しく、将来性に不安が残ること、中小企業ではブラックな勤務体系であること、同じ文章を扱う仕事でもネット業界は毛嫌いされていること、そしてまだまだ古い考え方の人が多く、働きにくい可能性があることです。それぞれ紹介していきます。
事業拡大が難しく、将来性に不安が残る
出版業界の売上減少は今後も続き、一部の大企業以外は事業拡大もできず倒産してしまう可能性が大いにあるため、先行き不安があります。
できれば大手企業に転職したいところですが、競争が激しく難易度が高いこと、アルバイトやパートで働き始めてもいつ社員になれるかわからないといった部分もあり、厳しい世界です。
中小企業ではブラックな勤務体系であることも
出版業界の中でも、中小企業については労働基準法を守っていないブラック企業が多くあります。
勤務時間の長さや残業代の未払いといった問題を抱えていることも珍しくありません。時給換算すると最低賃金を下回り、納期に追われながら休憩時間もままならず膨大な仕事量をこなすことが求められるでしょう。
ブラック体質の企業は、とても長期間勤務できるような環境ではありません。
入社してみると毎月のように退職者が出ていた、という例もあります。こうした企業は恐らく人手不足ですから常に求人掲載をしているでしょう。応募の際には企業のことをしっかりリサーチしてください。
同じ文章を扱う仕事でもネット業界は毛嫌いされている
出版業界に応募してみようと思った際に「ブログを毎日書いている」といるようなネット業界のことを持ち出すと、それだけで嫌な顔をされたという声も聞かれます。
出版業界からしてみればネット業界はいわば商売敵。こうした話をするとだいたいの場合「インターネットと出版業界は違う」と言われ、良い印象を与えないのでアピールポイントとして挙げないほうが無難でしょう。
まだまだ古い考え方の人が多く、働きにくい可能性がある
出版業界は昔からある会社が多く、閉鎖的な部分があるので古い考え方が根強く残っています。古い慣例やしがらみ、人間関係が苦手な人にとってはかなり働きにくい職場環境だと言われています。
まとめ
出版業界は業務に通じる経験をしている人はもちろんのこと、未経験でも挑戦できる求人が多くあります。出版業界で働ける求人を探すには転職サイトや転職エージェントを利用することになると思います。
転職エージェントを利用すると、採用担当者に評価してもらえるような履歴書の書き方や面接対策など、細かい部分までアドバイスしてくれます。未経験であっても優良企業に採用される可能性は上がりますよ。