転職活動で悩むポイントのひとつに転職理由の伝え方があります。「スキルアップのため」など、言っても問題ないような理由で転職を志している場合は問題ありませんが「なんとなく…」という人も少なくないはず。
そこで、今回はどんな転職理由を言えばいいのかや、参考にできるサンプルを用意しました。
転職理由を3つのカテゴリに分けて、どの理由がしっくりくるかを考えてみよう
一口に転職理由と言っても人それぞれなので、まずは「職場」「待遇」「仕事内容」の3つのカテゴリで分けてみましょう。自分がどの理由に当てはまりそうかを考えながら参考にしてください。
職場環境が悪かった場合
今の職場での居心地が悪い、働きづらいといった場合は、ある程度その理由を伝えてもよいかもしれません。
上司との相性が悪い、職場で働く人たちとの意識の違い、会社方針に納得できないという方も多いと思いますので、今の職場の問題点、自分から見た悪い点を伝えて「そういった職場で働き続けられなくなった」と言いましょう。
たとえ本音であっても、こうしたマイナスな意見はNG例として挙げられることもあります。
もし、今の職場で感じている嫌な点と応募先企業で共通している部分があったらどうなるでしょうか。結局、内定をもらってもすぐに環境が合わず転職したくなります。
ですので、自分の働きたくない環境をきちんと意思表示することも大切です。
あなたの感じる問題点を応募先企業も同じように良くないと捉え「我が社はそんな職場ではない」と言ってもらえれば、あなたにとって相性の良い企業かもしれないうえ、企業側も転職理由として妥当だと感じてくれるはず。
とはいえ、言い方には多少注意が必要。不満を言ってばかりだと、ただの愚痴にしか聞こえませんので、改善案やどうすることが正しいと思っているかも交えて、自分の働き方に対する意識をアピールしましょう。
【伝え方のOK例】
「今の職場環境は上司の一存ですべてが決まる環境なのですが、私はチームで話し合って課員が納得できる目標に向かって頑張れる職場で働きたいと思ったので、今回転職を考えるようになりました」
待遇が悪かった場合
給与や福利厚生などの待遇が悪いことも立派な転職理由になります。ただしこの場合、単純に「給与が低い」と伝えてしまうのは良くありません。かといってほかの言い方がないので悩みどころ。
ここで考えられる伝え方は2通りあります。
1つは「残業や仕事量が多いのに給料に見合っていない」ことを理由にします。未だに残業代がきちんと支払われていない企業もたくさんあるため、時給換算をしてしまうとかなり低い金額になっていることも。
「きちんと残業代が出る企業でしっかり頑張りたい」と前向きな姿勢を出せればこのように伝えても大丈夫でしょう。
もう1つは「自分の年代や役職に対して年収が低い」といった内容です。これは自分の友人やほかの企業の給与水準と自分の現状を比べればわかります。
今の企業では年功序列や年齢による昇給はほとんど見込めず、新卒で入社した当時とほとんど変わらない金額の給与のまま働いている人もいます。
こうした人は転職でほかの企業と話をしてみると「うちの会社ならもっと出せる」と言われることあるため、給与が低いという理由はあなたのキャリアによっては正当な理由となり得ます。
このように少しの工夫が、説得力のある伝え方に繋がります。
【伝え方のOK例】
「私は◯年間働き役職にもつきましたが、正直なところ今の年収に満足しているとはいえない状態です。もし、私の力を今よりも高く評価していただける企業があればと思い転職活動を始めました」
仕事内容に満足できなかった、思っていたものと違った場合
仕事をしている中で自分の考えていた仕事ができない、思い描いていたキャリアを歩めていないと感じた時にも転職を考えるでしょう。
この場合は「自分は本当にやりたいことは何なのか」を明確にしておかないと転職理由としては使えません。単に「やりたい仕事ができないから転職したい」と言ってしまうと、ただのわがままに聞こえてしまいます。
なるべく具体的なやりたいことや将来の目標、キャリアアッププランを提示して転職理由としましょう。
注意点としては、どんなに具体的な目標があっても1社での継続勤務年数が少ない場合や今の仕事とまったく違う業種や分野だと「飽き性なのだろうか?」と悪い印象を与えてしまいます。
その時は、ほかの理由も絡めながらいくつか転職理由を考えておきましょう。
【伝え方のOK例】
「現在は◯◯をしていますが、この経験を生かして◯◯仕事をやりたいと思い、転職を考えました
職業・職種特有の悩みや転職理由を一部紹介
上記3つの理由はスタンダードなものですが、職業や職種特有の転職理由もあると思います。今回は接客業、工業関連職、エンジニア職について考えていきます。
接客業の場合は「人間関係」と「ノルマ管理」が転職理由として多い
小売店の販売員などの接客業では人と接する機会の多さから「人間関係での悩み」や売り上げに関わる「ノルマ管理」の辛さから転職を考える人が多いようです。
人間関係が原因の場合、職場が変われば解決することと、そもそも接客業に向いていないといった原因が考えられます。
前者であれば同業他社に転職すれば解決しますが、後者の場合はまったく違う仕事に未経験で転職活動を行なうことになりますので若干ハードルは高くなります。
どちらの場合でも、今の仕事の知識や経験を活かせるような転職先を選べばそこをアピールポイントにできるでしょう。
ノルマが辛い、ノルマを意識し過ぎることで仕事が楽しくない時は、ノルマなしやノルマが厳しくないことを仕事内容に明記している企業に応募することになるかと思います。
単純に「ノルマ管理が楽そうだから」と伝えるのではなく「ノルマで物を売るのではない、本当に自分が良いと思う物をお客様に販売したいというかたちで伝えれば好印象です。
その際には応募先企業の販売製品を調べて、自分ならどんな販売をするかを交えて、興味があることをアピールするとなお良いでしょう。
工業関連の場合はオートメーション化の不安が転職理由として増えているが、今のキャリアを武器に転職しよう
工業関連職では身につけた技術や知識が活かせる可能性がおおいにあるため、今の仕事に不安な時には業務内容が違っても関連製品の仕事は狙い目です。
たとえば、いま工場でライン作業による製造工程に勤めている時は「ずっとこのまま工場で働くのだろうか」と考える人もいます。
このような不安を抱える理由として、年齢による体力的な面やロボットに仕事を奪われることが挙げられます。そうした不安を解消するには製造現場ではなく、上流工程である設計技術者や製品企画への転職を試みましょう。
実は上流工程では現場の専門性のある知識や経験は重宝されるため、十分なアピールポイントになるのです。
実際に製造していた製品と関連する転職先企業に向けて、「現場で得た知識を活用して、より効率の良い製品作りを目指します」と言えば、未経験者がまったく違う仕事へ転職するよりも比較的ハードルは下がります。
むしろ、経営者も即戦力を求めていることが多いので、そういう意味でも採用率は上がるでしょう。
エンジニア職は残業時間などを転職理由にすることが多いが、基本スキルがあれば他社でも活躍できる
インターネットのサイト管理エンジニアやサーバーエンジニアでは、顧客対応のための残業時間の長さが転職理由によく挙がっています。
一時期に比べれば残業時間に対する考え方が変わってきているため、残業時間の削減や残業代の支給をしっかりしている会社が増えてきていますが、中小企業やベンチャー企業ではなかなか進んでいません。
こうした企業は人手が足りていない状況ですから、入社は楽でも働いてみると激務で過酷な労働を強いられることもあります。
ただ、エンジニアとして身につけたプログラミング言語やスキルは他社でも通用することが多く、転職する際の大きな武器となります。
前の項目で紹介した残業時間の多さと給与のバランスに満足していないことを転職理由にしながら、今のスキルをもっと高く評価してもらえる会社を探していると伝えましょう。
ただ、より待遇の良い企業に転職するにはそれなりの経験年数や業績が必要になりますので、転職タイミングについては自分のスキルに自信が持ててからが良いでしょう。
まとめ
転職活動で困る「転職理由の伝え方」について例を挙げて紹介しましたが、もっとも大切なことは「御社に転職したい」という気持ちです。
転職しようか迷いながら転職活動をしていても、採用担当者にはそういった内心は見透かされてしまいます。迷いがある方も面接には「必ずこの会社に転職したい」という意識を持って臨みましょう。
また、転職理由を固めておくことも大切です。今の仕事のどこが不満でどんな会社に勤めたいと思っているのか、それにはなぜ応募先の企業が最適であるのかをまとめておきましょう。