昔から今まで幅広い世代に愛され、クールジャパンとして世界で人気のアニメ業界。今回はアニメ業界の仕事内容から必要なスキル、注意すべき点などを紹介していきます。
アニメ業界とはどんな仕事?
アニメ業界にはそもそもどのような仕事があるのでしょうか。仕事内容やどんな分野の経験が生かせるかを調べてみました。
アニメを描く原画師やそのサポート
アニメそのものを作る原画師や設定を考えてラフ画を製作するアートディレクターなどの仕事は、人気職業の1つです。基礎的なアニメの書き方は専門学校や漫画を書いて学ぶことが多いようです。
とはいっても、絵を動かして動画にするというアニメを1から作り上げる責任ある立場になれる人は少なく、ほとんどがサポートやアシスタントとして仕事に従事することになります。
アニメに命を吹き込む声優
アニメの声優もかなり人気の高い職業として知られています。こちらも多くの場合、養成所などで訓練を受けながら、アニメのオーディションに出場し役を獲得していくことになります。
人気声優となった人でも定期的にオーディションを受けていると言われ、有名になったからといって、どんなアニメでも起用されるということはないとのこと。
実力が付いても事務的にこなすのではなく、常にそのキャラクターに合うような演技とは何かを考え、能力を磨き続けなければ、激しい競争の中を生き抜くことはできません。
配給会社や声優のキャスティングを行なうディレクション
制作したアニメを放送するテレビ局の選定から広告宣伝の方法、声優のキャスティングを行なうディレクション業務もあります。
こうした仕事はアニメの監督やディレクターが兼任して行なう場合もありますが、大きなプロジェクトやタイアップ、宣伝効果の高い大きな企業が関わっている場合には専任の担当者が任命されます。
こちらの業務はアニメを実際に作ったことのない人でも、企画力のある方や陣頭指揮を取れる才能のある方、プランを考えるのが得意な人が選ばれることもあるようです。
他にも、シリーズ全体の話の整合性を調整するシリーズ構成、作画の打合せや編集、アフレコなどの演出を行う演出家など、アニメ業界の仕事は多岐に渡ります。
好きな人には憧れの業界であり、やりがいも大きい
アニメ業界は十代の若い内から憧れる人も多く、この道を目指して勉強して就職している人がたくさんいます。
自分一人ではできないため、現場では他のスタッフとのコミュニケーションやチームワークなど、人間関係の形成も必要になり、納期のために業務時間が増えることも多いというように、労働環境に不満を感じている人もいますが、完成した時の達成感は計り知れません。
年収は300万円ほどで、水準が高いとは言えない
アニメ業界の平均年収は300万円ほどと低めの水準になっています。
アニメ1本にかかる制作費は大きいのですが、関わる人員の多さや、宣伝費、声優への報酬など出費がかさむため、なかなか末端の作業者まで十分な給与の支給ができていないのが現状。
中には、正社員として働いているのに、労働時間を時給にすると最低賃金を大きく下回っているような所もありますから、まるでブラック企業です。
アニメ業界で働くにはどうすればいいの?
アニメ業界で働く方法を3つ紹介していきます。アニメ業界は専門的な知識が必要なので未経験ではあまりチャンスがないかもしれませんが、専門学校や養成所に通うことで道が開けます。
基本的には専門学校などで勉強していることが前提
アニメ業界の映像部門や声優、どちらを目指すにしろ専門学校や養成所を卒業していることが求めれます。何も知らない素人がアニメを描くことはできませんし、声優のオーディションも基本的には養成所に通っている人が受けることになっています。
そのため、経験もなければ必要スキルも持っていない新卒で就職活動をしている人は、こうした分野をいきなり目指すことはほぼ不可能といえます。
ただし、専門学校や養成所は仕事をしながら通える場所もあります。本気で目指したいと考えている人は仕事と勉強を両立させる価値はあると思います。
他の業界の生かせる経験としては映像や演出、制作進行のスキル
他の業種で経験したことを生かしてアニメ業界に転職を考えている人は映像や演出、ディレクション経験をアピールしましょう。
アニメを作る際にCGで背景やエフェクトと作ることが多いため、CGを用いた映像や演出に関わったことがあれば、即戦力として採用される可能性があります。
ディレクション経験は、できればアニメに近い映像作品や映画、テレビ業界であることが望ましいですが、そうでない場合でも規模の大きなプロジェクトを取りまとめた実績があれば採用されるかもしれません。
未経験でもわずかではあるが、チャレンジできることも
未経験では全く転職できる可能性がないかと言えばそういうわけでもなく、雑用や補佐的な仕事からであれば募集があります。
そこから技術を磨いていき、できることを増やして、主要メンバーとして働けるようになれるよう努力しましょう。しかし、できれば前述のように、専門学校に通うことや何かしらのアピールできる部分があったほうが望ましいです。
アニメ業界で働くために注意すべきこと
アニメ業界で働くために覚えておいてもらいたい注意点4つを紹介します。
具体的には下請けになるほどブラックさが増していくこと、未経験ではなかなか転職が難しいこと、年収が上がりにくく、成功するのはほんの一握りであること、そして世間の評価を受けやすく、失敗すると精神的ダメージが大きいことです。
それぞれ紹介していきます。
下請けになるほどブラックさが増していく
アニメ業界の年収の低さは紹介した通りですが、下請けになるほど年収は大きく下がっていきます。
日本のアニメ業界はブラックと言われており、毎日残業するのは当たり前で、10時間労働が当たり前なのに、一人暮らしもできないような収入・・・。にもかかわらず、拘束時間の長さから他のアルバイトもできず苦しんでいる人もいるほどなのです。
夢のある仕事ですが、夢を追いかけているだけでは生活できませんから、どこかで諦める決断をしなければならない時期が来るかもしれません。
未経験者ではなかなか転職が難しい
アニメ業界は全くの未経験から転職をすることは難しい業界です。
例に上げたような業務経験があれば別ですが、20代のまだ社会人経験が浅い人にはかなり狭き門です。専門学校や養成所に行くにもコストと時間がかかるため、本気で目指すならお金を貯めて、余裕を作ってから転職を考えましょう。
年収が上がりにくく、成功するのはほんの一握り
アニメ業界は年収の低さと同時に、上がりにくさも懸念点の1つです。原作者として大ヒットを生み出するとか、声優として人気が出れば年収アップの目標も叶いますが、そうでもない限りは年収が上がるきっかけがありません。若いうちは憧れで仕事ができますが、将来的なプランを考えた時に年収の部分で見直しをしないといけないかもしれません。
世間の評価を受けやすく、失敗すると精神的ダメージが大きい
自分の関わったアニメの評価はどうしても気になるもので、悪い評価だとかなり落ち込みます。
今ではネット上ですぐに悪評が拡散する傾向にあり、一度そうした情報が出回るとなかなか挽回ができません。自分が一生懸命仕事をした結果が報われないと、精神的なダメージも小さくないため、それだけで挫折して諦めてしまう人もいるようです。
まとめ
アニメ業界は夢のある仕事ですが、未経験からチャレンジするのは難しく、年収に水準も高くありません。
しかし、実態を把握した上で自分の趣味や子供のころからの夢で目指す人も多く、人気がある仕事であることも間違いありません。