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既に市場は飽和状態?美容師を辞めて他業界へ転職するには!?

「将来は美容師さんになる!」

小さな女の子なら誰でも一度は美容師に憧れると言いますが、美容師になるにはかなり厳しいアシスタント業務をクリアしなければなりませんし、美容師として独り立ちしても一向に上がらない報酬にモチベーションが続かないこともあります。

増してや、現状ではオーバーストア状態の美容業界。念願の独立開業を果たしたとしても、その後も苦労が続きます。

そこで今回は美容師の夢をあきらめて転職を考えている方向けに、どのように転職の準備を行えばよいかをお話しいたします。

少子高齢化により美容業界も先細り

急速に進む日本の少子高齢化。人口は既に減少傾向にあり、2050年前後には日本の総人口が1億人を割り込むと言われています。

ここ数年、毎年30万人近く人口が減っています。言ってみれば、毎年1つ地方都市が消滅しているような状況。にもかかわらず、美容室数は増加しています。つまり、美容室1件あたりの顧客数というのは年々減少しているのが現状なのです。

このように、既にオーバーストア状態にある美容業界ですが、美容師を希望する若者の数はあまり減少しておらず、今後も独立開業がある程度続くであろうと言われています。

少ない顧客をより多くの店舗で奪い合うような状況が今後さらに激しくなるということですね。

一方で、1,000円カットに代表される時短型美容サービスの台頭も顧客の奪い合いに拍車をかけています。

特に外見にあまり気を使わなくなった高齢者を中心に、1,000円カットを利用するケースが増加しており、急速に減っていく若年層をどうやって顧客として確保し続けるかが課題となっています。

美容師の過酷な勤務実態

美容師として一人前になるには、専門学校で基本的なスキルを習得した後に、まずアシスタントとしてどこかのお店で修行することとなります。

このアシスタント期間は非常に過酷な労働環境であることはあまり知られていないかもしれません。

実際、美容師に憧れて専門学校を卒業したものの、アシスタント勤務のきつさに加えて、給料の安さに音を上げてしまい、「もう辞めたい」「続ける気力が無い」と脱落していく人が後を絶たないのです。

美容師のアシスタントはかなり厳しい修行です。一例としてその厳しさをいくつかご紹介しましょう。

①先輩の技を見て覚える

勤務時間中、ずっと立ったまま先輩のカットやトークスキルなどをよく観察します。立ちっぱなしですから、言うまでもなくきついです。

②閉店後の練習

人形などを使っての練習は閉店後です。もちろん、お店の清掃などもアシスタントの役割なので、片づけをして清掃して練習して、となると残業は当たり前で、帰宅時間は深夜になることがザラです。

③お客様対応はシャンプーから

アシスタントとしてお客様に接する初めての機会はシャンプーです。まだカットは任せてもらえず、ひたすらシャンプーばかりを繰り返す日々が続きます。中腰の姿勢で行うため、足腰を痛めやすくなります。また、肌の弱い方は手荒れもひどくなるようです。

このように、アシスタント業務はかなりハードです。思い描いていた美容師像と大きくかけ離れていると嘆く新人も多く、新人の3年以内の離職率は90%というデータもある程です。

離職率の高さは、社会人経験が少ないために挫折してしまったとも考えられます。ですが、残業続きの肉体労働と、それに見合わない給料で身も心も限界を迎えてしまったとも言えるでしょう。

新人期間に経験するハードワークっぷりは、将来の目標を強く、具体的に思い描いている人でないとなかなか乗り越えられるものではありません。

独立開業の夢をかなえられるのはごく一部

仮に美容師として独り立ちしたとしても、やはり給与の低さに悩まされることになるでしょう。美容室の多くは個人経営もしくは小企業であり、資金力には限界があります。もちろん、福利厚生や教育研修制度なども一般企業と比べると見劣りすると思っていたほうが良いです。

キャリア15年のベテランでも年収300万円台というのは珍しくありません。独立開業のために資金を貯めるとしてもなかなか思うように貯まらないでしょう。売れっ子になって社会的地位を得られる美容師はほんのひと握りです。

また、念願のヘアサロンを開業できたとしても客の奪い合いが熾烈。よほど際立った特徴を持たなければ新規に客を捕まえることは難しいでしょう。

自分でお店を持つのではなく、ヘアサロンの一角を時間もしくは一日単位で借りて、お客様に来てもらうという方法もあります(面貸し)。この場合は、当然正社員という扱いではなく、個人事業主として業務委託する形になります。

この方法なら、コストを抑えて集客できますが、自分のお店ではないので色々不便なことも多いでしょう。独立しているのだという意識が育ちにくいという問題点もあります。

新規顧客はネットの予約サイト頼みとなるでしょうが、これらの予約サイトは割引を前提に考えられています。その分お店側にとっては負担が増すことにもなり、経営的にはあまり喜ばしいとは言えませんね。

このように、今後の美容業界はあまり明るいとは言えない状況にあるのです。

転職するなら早いほうが良い

仮にヘアサロン開業の夢をあきらめて転職するのであれば、できるだけ早い方(=若い方)が良いでしょう。というのも、美容師としての技術や資格は専門性が高く、他業種ではなかなか活かす道はありません。平たく言うとつぶしの効かない仕事だと言えます。

特にアシスタント時代は接客業務も、ほとんど経験しないため、対人コミュニケーションスキルが鍛えられることもありません。そういう意味においても、転職活動は早めに行ったほうが良いでしょう。

一方で、ある程度キャリアを積んだ方であれば、接客スキルを習得しているため、販売業や飲食業などにスキルを活かして転職することが可能です。

ただし、その場合でもやはり年齢が若いほうが有利です。一般の会社員と同じく、35歳を過ぎると転職はかなり難しくなるのでご注意ください。

どのような業界へ転職するのが良いか?

美容師から他業界へ転職するとしたら、どのような業界が考えられるでしょうか。一つには前述したような販売業や飲食業です。接客という共通スキルが使えるため、即戦力として活躍できるでしょう。

また、個人向けの営業職などもチャンスがあります。コミュニケーションスキルに長けているため、他人との関係性を築くのがスムーズになりますから、営業成績も期待できます。

コミュニケーションスキルを活かすという点においては、コールセンターのオペレーターなども向いている職種です。クレーム対応などを無難に乗り切ることができれば、コールセンター内でのポジションもすぐに上がっていくでしょう。

美容師の夢をあきらめて転職する準備

美容師として働いていると、求人情報をチェックしたり、履歴書を書いたり、面接の練習をしたりといった、転職活動に割く時間をなかなか確保できないと言われています。

特にアシスタント時代は朝早くから深夜遅くまで勤務することとなり、休みの日も出勤してカットの練習をするなど、プライベートの時間をなかなか確保できないでしょう。限られた時間で情報収集から面接まで煩雑な転職活動を効率的に行う必要があります。

時間を確保するために、退職して一旦はフリーターになり、採用を目指す人もいますが、あまりおススメしません。職歴のブランクは転職先に敬遠される要素の一つです。やむを得ない事情の場合は仕方ないですが、できるだけ在職中に転職活動を行いたいものです

では、どのように転職活動を行えばよいでしょうか?

その答えは転職エージェントにあります。転職エージェントはインターネットを利用した登録が可能であり、24時間登録を受け付けています。

登録後は希望職種やこれまでの経験などを、転職アドバイザーと面談して詳しく話す必要はありますが、その時間さえ確保できれば、後は転職エージェントがアナタにふさわしい転職先を見つけるために、応募から面接までセッティングしてくれます。

つまり、あなたの代わりに煩雑な転職活動を一部代行してくれるのです。