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派遣会社で働きながら正社員を目指す「正社員登用有り」の求人のメリットとデメリット

転職サイトやエージェントからの紹介で「正社員登用有り」という案件を見たことはありませんか?

具体的にどんなもので、メリットやデメリットはどのようなことがあるのかを考えてみましょう。就職活動中の人、派遣会社への登録を検討している人は、ぜひ目を通しておいてください。

「正社員登用有り」の求人って?

簡単に言うと最初は契約社員や派遣社員といった雇用形態で勤務し、ゆくゆくはその企業の正社員として雇用契約を結ぶ予定の求人です。募集の多い職種や案件の特徴を紹介します。

主に技術職で多く見られる求人方法

社員登用有りの案件は技術職でよく見かけるので、そうした企業で働きたい人には狙い目とも言えます。もともと技術職では知識を持った契約社員や派遣社員を使うことが多いため、社員登用制度を採用しています。

即戦力が求められる職業なのですが、一から社内で教育するとそのための人員もコストもかかってきます。

そのため、契約社員や派遣社員として外部で一定の教育訓練を受けた人や他社でスキルを磨いた人を雇い、自社での業務に慣れた人を正社員としているケースが少なくありません。

派遣社員の場合は、派遣元の会社がしっかりと教育する環境が整っていれば未経験でも挑戦できますし、すでにスキルやキャリアがあれば契約社員としてすぐに仕事ができる状態なので、働く場所には困らないでしょう。

求人サイトで常に募集がある

求人サイトには社員登用有りの案件が常時掲載されています。通常の正社員を中途採用する目的の案件は時期によって募集数にムラがあります。

主に社内教育を一緒に行える新卒募集タイミングである2~4月、もしくは新入社員が抜けた場合の補充を行う夏場などに中途採用案件が多くなる傾向にあります。

しかし、それ以外ではなかなか案件がないのですが、社員登用前提の派遣案件は一定数存在します。

その理由は、忙しいプロジェクトに人手が欲しい企業が数多くあるからです。また、正社員登用有りの求人でも企業が直接契約を結ぶ契約社員だけでなく、派遣会社に登録し社員登用前提で派遣を行う「紹介予定派遣」などの案件もあります。

このように企業の募集に対するアプローチの方法がいくつもあるのが社員登用有りの案件になります。

正社員登用とは違う「無期契約」

労働契約法の改正により、契約社員が通算5年以上(2013年4月1日以後)働いた場合は、その社員が申し出ることで無期契約になることが義務付けられました。

本来、契約社員の契約期間は、原則として最長で3年間と定められています(専門技術を持っている、または60歳以上だと最長5年まで)が、この法改正により有期雇用から無期雇用になります。

ただし、正規雇用(正社員)になるのではなく、「定年まで、毎年契約更新する必要がない契約社員」という意味です。

この法改正が始まったのは2013年の4月からですから、2018年には「無期契約社員」が一気に増えるでしょう。

ちなみに、契約社員であっても、雇用保険に加入していて、被保険者である期間が通算12ヶ月を超えるなら、正社員と同じ条件で失業保険を受けることができます。

「正社員登用有り」のメリット

「正社員登用有り」の案件にはいくつかメリットがあります。

正社員として内定を得るのは大変な時期でも契約社員や派遣社員として「正社員登用有り」に応募することで早期から勤務でき、結果的に正社員になりやすいのが一番のメリットです。その他にもいくつかありますので紹介します。

正社員として転職活動するよりも、正社員になりやすい

正社員として内定をもらうよりも、契約社員や派遣社員として企業で働き、実績を積んでから登用されるほうが比較的スムーズに正社員になれます。

正社員の内定と言うと、コスト面や相性などを考え、経営者側も慎重になります。

しかし、「正社員登用有り」という名目で募集をして、応募者と一定期間一緒に働いた上で正社員にする方法であれば、社内のことを知っている即戦力の人材を正社員として迎えることができます。

つまり正社員登用有りの案件は「まずは一緒に働いてみませんか?」という意味も含まれているのです。案件によっては試用期間と同じ捉え方をしている場合もあります。

正社員になるかは働いてみてから決めることができる

正社員登用の際は強制ではないため、仕事内容や環境が合わないと思った場合は、断ることもできます。最初から正社員で入社してしまうと辞めにくい上、転職回数が増えてしまうのは、デメリットと言えます。

その点、正社員登用で働く派遣社員なら、契約更新時や登用時に辞退することも可能です。「初めての業界で不安だ」「実際に正社員で働く人の声を聴いて、体験してから決めたい」といった人に最適な働き方とも言えます。

働いている間のサポート体制も良い

派遣会社を通して派遣社員として働く場合も、契約社員として転職エージェントの担当者に紹介されて勤務した時もサポートを受けられます。

サポートの内容は、登録した派遣会社や転職エージェントにより様々です。

例えば、通常正社員として働いていると、社内の不満や改善要求は上長に直接言わなければなりませんが、契約・派遣社員の場合は登録会社の営業担当者に相談できます。

実際の職場で顔を合わせている上司に面と向かって要求を言うことはなかなか難しいですが、営業担当であれば言い易いですね。

派遣会社としても問題なく働いてもらうことが大切。勤務環境によっては派遣社員と派遣先企業との信頼関係に繋がるので、こうした派遣社員として働く自身の声をフォローしてもらいやすいのはありがたいです。

「正社員登用有り」のデメリット

「正社員登用有り」の案件にもデメリットがあります。必ずしも正社員になれるわけではない点や、収入アップを急ぐ場合は、不向きなところが挙げられます。

人によっては自分の将来設計やキャリアプランに響く可能性があるので、しっかり把握しておく必要があります。

正社員になれる確約をするものではない

最大のデメリットとも言えるのが、絶対に正社員になれるわけではないことです。求人の中には正社員登用するまでの期間が書かれているものもありますが、目安でしかありません。

契約社員や派遣社員として働いている間に更新されなければ職を失う点は、通常の有期契約で働くのと変わらないので、安定しているとは言えません。

正社員として登用することは企業側にとってコストがかかりますので、あなたがどんなに頑張っていても業績次第では更新されない、社員になれない可能性も大いにあります。

特に中小企業やベンチャー企業の「正社員登用有り」は、応募数を増やすための口実で、繁忙期を乗り切るために労働者が欲しいだけの場合も。すべてがそうだとは言いませんが、リスクも理解しておきましょう。

収入アップするタイミングは遅れがち

勤務当初は契約社員や派遣社員として働くので、待遇がイマイチなことも。契約の条件や所属する派遣会社によって変わってきますが、給料が少し高い代わりに交通費や各種保険無しといった条件の会社もあります。

これが正社員になって収入が上がるかと言えばそういうわけでもなく、月給が契約社員や派遣社員より下がる代わりに、交通費支給と各種保険加入になるだけで結局手取りは同じくらいになることが多く見られます。

そして、正社員として採用されてから、改めて給与の査定が始まるため、収入アップの時期が遅くなります。早く収入を上げたい人は、最初から正社員で入社できるようにしたほうがよいです。

まとめ

「正社員登用有り」の案件は今すぐ転職や就職して、いつか正社員になりたいという人に向いています。案件の多さやハードルの低さから採用されるチャンスも多く、無職の期間をなるべく短くしたいと考える人には注目の案件と言えるでしょう。

逆に、在職中で、キャリアアップやスキルを活かした転職を考えている人が応募するには少し勿体無いかもしれません。

上のデメリットでも挙げたように、正社員になれる確約もなく、収入アップに繋げるのが難しいので、そういった人は一度転職エージェントに相談してみるのも1つの手段です。

あなたのプロフィールから正社員として活躍できそうな求人情報を紹介してもらえますし、内定獲得に向けたサポートも充実。自分でも気付かなかった強みやアピールポイントを発見する機会にも繋がります。