
タクシー会社の新卒採用活動が活発化しています。以前は新卒でタクシー運転手になるという選択肢はほぼなかったのですが、現在では有名大学からも新卒でタクシー会社へ就職する若者が増加し、学生にとって有力な就職先の一つとして脚光を浴びていのです。
この流れの背景には、近年のブラック企業の増加が一因として挙げられています。実はタクシー運転手の仕事は思いのほかホワイト職種なのです。そこで今回はタクシー運転手の仕事内容や将来的なキャリアアップ手段についてご説明いたします。
- タクシー会社に勤務するということ
- タクシー運転手の仕事内容
- 同じ仕事でも稼げる運転手、稼げない運転手の差
- タクシー運転手の平均年収から、最大でどのくらい稼げるのか?
- 女性でも稼げる仕事である
- 将来は個人タクシー経営者への道がある事
- まとめ
タクシー会社に勤務するということ

タクシー会社の人員募集はほとんどが運転手の募集です。タクシー会社には他にも人事や経理、あるいは配車業務がありますが、そういった間接部門の多くは高齢者を雇用しており、若者世代は原則としてタクシー運転手で実績を積んでいくこととなります。
新卒募集や中途採用を積極的に行っている大手タクシー会社の多くは、しっかりとした研修制度やキャリアアッププランを明確に提示しているため将来的なキャリアアップもわかりやすいと評判です。
そんなタクシー会社勤務ですが、まずは運転手としての仕事内容や待遇から見ていきましょう。
タクシー運転手の仕事内容

一般的にタクシー運転手としてイメージするのはみなさんが街中でよく目にする距離によって料金が変動するタクシーを運転する人のことでしょう。
しかし、タクシー会社によってはそれに加えてハイヤーと呼ばれる業務を行っている場合があります。ハイヤーというのはわかりやすく言えば企業やセレブの「お抱え運転手」として専用車を運転する業務と考えてよいでしょう。
ハイヤー業務に携わるには、タクシー運転手として優秀な実績と高度な運転スキルを身に付けなければなりません。従って、新入社員はまずタクシー運転手としてのスタートを切ることになります。ではまずタクシー運転手の仕事内容の特徴を見ていきましょう。
タクシー運転手の勤務形態

タクシー運転手として勤務する場合、以下4つの勤務形態から選択することになります。
1.昼日勤・・・毎日昼間に勤務する
2.隔勤・・・18~21時間勤務(休憩時間含む)を1日おきに行う
3.夜日勤・・・毎日夜の時間帯に勤務する
4.シフト勤・・・上記3つの勤務形態をミックスさせる
タクシー運転手という仕事の大きな特徴はこの勤務形態にあります。基本的には自身の希望によりどの勤務形態で働くかを決めることができます。
そしてタクシー運転手の最大のメリットでもあり普通のサラリーマンと比較すると羨ましい点でもあるのが「残業が無い」ということです。お客様を乗せて遠方へ行ってしまった場合は例外ですが、原則的に残業はしてはならないルールなのです。
タクシー会社の場合、1台のタクシーを複数の運転手で運用します。
つまり、昼日勤の運転手が残業してしまうと夜日勤の運転手の車が無いという事態も起こりえます。従って、勤務終了時間までに確実に会社へ車を戻さなければならないため、必然的に残業が無く定時で仕事を終われるということにつながります。
タクシー会社の1日

では次にタクシー運転手の1日の勤務の流れを見ていきましょう。(昼日勤パターン)
出社:公共機関や自家用車で定時前に会社へ出社
出庫前点呼:乗務する車のエンジンオイル、バッテリー液、ブレーキオイル、タイヤの空気圧などを念入りに点検
出庫点呼:朝礼、アルコールチェックなどを行い出発
営業:駅ロータリーでの客待ちや繁華街などでの流しを行い、お客様を乗せて運転
休憩:頃合いを見て休憩や食事
営業:午後は人も増えてくるので繁華街中心に待ちと流し
帰庫:定時前に会社へ戻り日報作成
帰庫点呼:アルコールチェックや事故チェックなど
退社:業務終了
このように、車両のメンテナンスとアルコールなどの自己管理に割く時間が必ずあります。お客様を乗せて安全に運行するためには、会社だけでなく運転手自身も注意深く行動する必要がありますね。隔勤であれば途中で仮眠や洗車が入りますが、基本的な流れは同じです。
同じ仕事でも稼げる運転手、稼げない運転手の差

このように、タクシー運転手は1日の勤務時間は皆同じです。にもかかわらず、稼げる運転手とそうでない運転手の差は大きいと言われています。
そこでまずタクシー運転手の報酬体系から見ていきましょう。
タクシー運転手の給料計算
タクシー運転手の給料は、基本給+歩合で計算されます。歩合の比率は会社によって異なりますが、売り上げの60%前後が多いようです。また、歩合の一定額を積み立て賞与として支給する会社もあります。
ひとつ具体例を見てみましょう。
転職情報サイトDODAに掲載されている株式会社アシストの給与欄は以下のように記載されています。
◆日勤/月給22万円以上+インセンティブ
◆夜勤/月給36万円以上+インセンティブ
※インセンティブは、基準営収をクリアしていれば、税抜き営収の60%を支給します。
仮に1日の営業収入が2万円だったとすると、60%の12,000円が1日分としてプラスされます。日勤で20日勤務だとすると基本給22万円+インセンティブ24万円=44万円が月収となるのです。
稼げる運転手の特徴
稼げる運転手に共通する点として、情報を持っていることが挙げられます。インセンティブがあるため、稼げる=売り上げを上げているということ。つまりお客様の多くいる場所を知っているということです。
また、お客様からの指名もあります。タクシー運転手は接客業ですので、お客様に気に入っていただくと次も指名してくれることがあります。指名客が増えればその分空車で走る時間も減ります。
稼げる運転手というのはこのように日々の情報収集を怠らないことと接客に手を抜かないことが一番のポイントなのです。
また、高齢化社会の進展により多くの郊外の集合住宅では普段の足に困っています。このようなエリアに強みを持ち営業しているタクシー運転手も数多くいます。社会情勢に敏感に反応してお客様を捕まえるセンスも必要なのです。
タクシー運転手の平均年収から、最大でどのくらい稼げるのか?

では、実際に稼げる運転手というのはどのくらいの収入を得ているのでしょうか?
まずはタクシー運転手の平均年収を見ていきましょう。実はタクシー運転手の平均年収は、データの調査方法によってさまざまな結果が出ています。
年収200万円台がほとんどというデータもあれば、先に例を出した株式会社アシストでは日勤の平均年収が372万、夜勤だと624万円となっています。
中小タクシー会社の中には完全歩合制の会社もあるため、業界平均でみると低くなってしまうのでしょうが、固定給+インセンティブの会社だと高くなる傾向にあります。
最高に稼げているドライバーの場合、年収1000万円を超えているという調査もあります。なお、タクシー運転手には年功序列制度はありませんので、若くしてこのくらい稼ぐことも可能ということなのです。
女性でも稼げる仕事である

最近では女性のタクシー運転手も増加しています。
これまで男性の職場のイメージが強かったタクシー業界ですが、女性でもタクシー運転手として採用されるようになってきました。
これにはさまざまな社会的背景もありますが、最も大きいのは女性客が女性ドライバーを指名するケースが増えてきたことが影響していると言われています。
特に深夜のタクシー利用に際し、女性客は女性ドライバーだと安心して利用できるという意見が多く、それが結果的にタクシー会社の売り上げ増大につながっています。
女性客をターゲットにした新しい戦略ということですね。従って、女性のタクシー運転手の場合は深夜遠距離のお客様が多く、その分大きく稼ぐことができるのです。
将来は個人タクシー経営者への道がある事

タクシー運転手のキャリアアップですが、最もメジャーなキャリアアップは個人タクシーとして独立する方法です。
個人タクシー運転手は原則として個人事業主あるいは企業経営者となります。これまで会社勤務の場合は歩合で給料を得ていたのに対し、個人タクシーの場合は料金収入がすべて自分の収入になるということです。
個人タクシーになるにはいくつかの条件があります。年齢や地域によっても異なるのですが、多くは満65歳以下でかつタクシー運転手歴10年以上で有資格者となり、試験を受けた後に独立することが可能となります。
個人タクシーのメリットは以下いくつかあります。
① 会社のシフトに縛られず自由に営業できること
② お客様に選んでもらえそうなグレードの高い車をつかえること
③ 営業収入がそのまま自分の収入になること
④ お客様からの信頼が増すこと
お客様の中には、わざわざ個人タクシーを選んで乗車する方もいます。個人タクシーはそれだけ信頼があり、プロフェッショナルであるため収入も高いのです。
まとめ
タクシー運転手の仕事は、勤務体系や給与面などを見ても一般のサラリーマンより恵まれている点が多くあります。年功序列ではなく実力で評価される点や理不尽な上司に振り回されることもない点など、ストレスフリーな職場とみる向きもあります。
これまでの時代の中で、タクシー運転手は中高年の労働者を受け入れる職場というイメージがありましたが、現在では一変し若者世代の有力な就職先となっているのです。
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